一般的な目標達成の技術

それでは、目標を設定したとして、どうやって目標を達成するかだが、日本の一流企業や外資系企業の優秀な社員がどのように目標を達成しているか、ということから説明していこう。

まず、はじめに説明しておきたいのだが、一般的には超有名企業に勤めている社員なら誰でもここで述べるような論理的な方法を駆使して仕事をしているように思われがちだが、決して、そんなことはない。超一流企業の社員であっても、まだまだ経験と勘に頼って仕事をしている人がほとんどである。

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だから、学歴がないからとか、学生時代に成績が良くなかったからと言って心配する必要はない。また、同様に年を取ったから記憶力が悪くなった、理解力が悪くなったと悲観する人がいるが、年齢も関係ないと思っている。実際、私も50歳になってから英会話の学習を再度開始したが、若い時よりもはるかに流暢に話せるようになっている。最も問題なのは、年を取ったからという理由で勉強しなくなることだ。もちろん、勉強しない、運動しないとなれば、使われない機能は萎縮していくから理解力、記憶力、体力全て低下していく。日々のスケジュールの中に何らかの学習、そしてエクササイズの時間を盛り込んでいこう。

さて、目標達成の技術に話をもどそう。私は永年外資系企業でコンサルタントとして働いてきた経験から、かなりいろいろな改善技法(最近ではフレームワークと言われるようになってきたが)を見てきた。その中で、一番優秀だと思われる方法は経営コンサルタントの矢矧晴一郞が提唱していた枝分かれ図だ。

蛇足になるが、矢矧氏には随分世話になった。私が、まだ最初の会社で落ちこぼれサラリーマンだった頃、矢矧氏の著作「勉強は技術」を読んで、「人間いつからでも勉強を再開すれば、優秀な人間になれる」という文章を読んで感銘を受けた。そして、毎週図書館通いを続け、土日や通勤中に勉強を続け、コンサルタントになることができた。その後、ひょんな縁から個人コンサルを受ける機会にも恵まれた。

その矢矧氏が提唱した問題解決技法がYS法だ。矢矧晴一郎氏のイニシャルから命名された方法だ。

YS法

詳細はかなり複雑なので、エッセンスだけを紹介しよう。

簡単に言えば、何かの目標を達成するための施策をまずは単なるアイデアレベルでいいから、とにかくドンドンと書き出す。書き出したら、それらをある程度分類する。
例えば、売上を回復させるための解決策を考えていて、

  • 高級商品を販売する。
  • 値上げをする

といった案が出てきていたとする。そうすると、売上単価という分類でまとめ、再度、売上単価を上げる他の方法はないかを検討してみるといったことだ。

こうして、一通りの案が出尽くしたら、それぞれの案を評価していく。
評価の方法も色々と工夫できるが重要なものとしては、その対策が100%成功したとして、どの程度の効果が上がるのかを1~5点で重みづけする。あるいは、全ての対策が成功すればいいのだが、もちろん成功確率が低い対策もある。したがって、それぞれの案に成功確率○○%と評価をつけていく。

こんな風にして、それぞれの対策案を評価し、優先順位の高い対策から取り組んでいくという方法である。もっと細かい手法があるのだが、分かりやすくするために、具体例を以下に挙げてみよう。矢矧氏のYS法は、複数の対策、代替案、英語で言えばAlternativesを組み合わせて効果的な対策を実施しようということであるが、具体的な対策だけでなく、考え方に関しても、優れたアイデアを融合させれば、さらに、素晴らしいアイデアが生まれてくる可能性が高い。そういうわけで、ここでは、売上を上げるということを例に、また、さらに効果を高めるために、矢矧氏のYS方法とマーケティングで有名なジェイ・エイブラハム氏の考え方を融合させてみよう。

ジェイ・エイブラハム氏によるビジネスを成長させる3つの方法

 マーケティングの第一人者と呼ばれるジェイ・エイブラハム氏によると、どんなビジネスであれ、ビジネスを成長させる方法はたったの3つしかないという。つまり、その3つだけに集中すれば、どんなビジネスでも成長させられるという。

  1. クライアントの数を増やす
  2. クライアントあたりの平均販売額を増やす
  3. クライアントが購入する頻度を増やす

そして、クライアントの数を10%増加させ、平均販売額を10%増加させ、さらに、購入頻度を10%増加させれば、単純計算で110% x 110% x 110% = 133%の売上増加となる。

クライアントの数を増やす方法としては、例えば、

  • 紹介システムを導入し、既存顧客がもっと友人を紹介してくれるようなキャンペーンを考える。
  • 特別イベントや情報会の開催

平均販売額を上げるためには、

  • もっと販売価格の高い商品やプログラムを開発する。
  • パッケージをより豪華にし、販売価格も値上げする。

クライアントが購入する頻度を増やすためには、

  • ダイレクトメールを活用し、キャンペーンのご案内を行う
  • 購入頻度を上げることのメリットを説明する

などの対策が考えらえる。業種によって、効果のある対策は変わってくるだろうが、とにかく上記の3つの視点をベースにすれば、どんどんアイデアが出てくるだろう。

オズボーンのチェックリスト他に使い道がないか?

また、ブレインストーミングを提唱したA・F・オズボーン氏が唱えるオズボーン氏のチェックリストという発想法もある。会社でもアイデア出しの時によくやるブレーンストーミングだが、いつもアイデアを出す人は決まっていて、特定の人からしか意見が提出されないという欠点がある。そして、そういった人が欠席したり、いなくなったりすると、全く新しい意見が出なくなったりする。

そういった時に強制的に発想を出させようというのが、こちらのチェックリストだ。
仕組みとしては、以下の質問に沿って、ひたすら回答をしていくだけ。

  • 他に使い道がないか?
  • 他に似たものをさがしてみたら?
  • 変えてみたら?
  • 拡大したら?
  • 縮小したら?
  • 置き換えたら?
  • 配置や並びを換えてみたら?
  • 逆にしたら?
  • 組み合わせてみたら?

そもその人間の脳は質問が来ると、ひたすらその答えを探そうとするようだ。
その性質を活かし、アイデアに詰まったときに、こういったチェックリストを活用することでアイデアが出やすくなってくる。

全てのアイデアを片っ端から実施する!?

さて、このようにして、ジェイ・エイブラハムの考え方やオズボーンのチェックリストを活用することで、少なくとも今までよりはアイデア、対策案が出やすくなるだろう。

対策が10個出れば10個全て実施する。20個出れば20個全て実施するという方法もなくはない。やはり、ダイレクト・レスポンス・マーケティングの第一人者のダン・ケネディも、銀行から融資を引き出す方法として、16個もの方法を上げている。そして、その全てをほとんど同時に実施すれば、まず成功は間違いないと言っている。

お金儲けの神様と言われており、著書「億万長者入門」で有名なロバート・アレン氏もある時新聞記者からこんなことを言われたそうだ。

新聞記者:
「あなたは、多くの著書で起業を勧めているが、80%もの起業は失敗するという事実を知っているのか。恐らくあなたはその事実を知りながら、自分の著書やセミナーを販売するために、起業を勧めているのではないか。それは、倫理に劣ると思わないのか」

ロバート・アレン:
「もちろん、私はその事実を知っている。しかし、考え方に大きな相違があるようだ。80%失敗するということは、裏を返せば、20%は成功するということだ。つまり、5回トライすれば、1回は成功する。じゃあ、5回くらい失敗しても、理想を言えば、10回くらい失敗しても問題ないくらいのレベルで小さくビジネスを始め、成功したビジネスだけを継続し、そのビジネスに集中する。こうすれば、ほとんどの人が成功する可能性がある。私は、そのための方法を人々に教えている」

アニメに学ぶ連続必殺技の繰り出し

世界のマーケティングの大家やコンサルタント、お金儲けの神様の話を少し紹介したが、面白いことは、基本的に失敗するかもしれないことを前提として対策を考えていることだ。

コンサルタントが使う考え方のひとつに代替案思考というものがある。英語で言うと、Alternative Thinking。代替案、代わりの案というと、どうも劣った案という感じがあって、イマイチな訳だと昔から言われているのだが、さりとて、代わりの妙案もなく、なんとなく代替案思考という名称がまかり通っている。
まあ、単語の問題はさておき、これまでの内容を見てみると、やはり予め複数の案、Optionを用意しておき、A案がダメだったらB案。B案がダメだったらC案と、次々に案を実行するのが望ましい。こうすれば、ロバート・アレン氏が言うように、成功確率がどんどんアップしていく。

そういえば、大ヒットするアニメでも、主人公は複数の案を用意しているケースがほとんどだ。私の好きなアニメで言えば、ワンピースか、ジョジョの奇妙な冒険。どちらの場合でも、とてつもない強力な敵がいて、その敵に対して、Aという必殺技を繰り出すのだが、軽くかわされてしまう。そして、次に、Bという技。これもダメ。さらに、Cの技。Dの技を繰り出し、最後にはとても勝てそうもないと思われた敵に勝ってしまうというパターンだ。

この勝利の方程式をYS法を使って、仕事や人生の目標を達成するためにも使う。そうすれば、目標が達成できる確率が飛躍的に高まる。

YS法を使って人生の目標を達成する

これまでに見てきたように、一般的な企業で活用するなら、まずは目標を達成するための対策・代替案を事前にできるだけ考え出すことだ。

ジェイ・エイブラハムの例ならば、

・紹介システムを導入し、既存顧客がもっと友人を紹介してくれるようなキャンペーンを考える。
・特別イベントや情報会の開催
・もっと販売価格の高い商品やプログラムを開発する。
・パッケージをより豪華にし、販売価格も値上げする。
・ダイレクトメールを活用し、キャンペーンのご案内を行う
・購入頻度を上げることのメリットを説明する

といった案を出したが、もっともっと多くの案を出しておくこと。

ポイントとしてはアクションを打つ前に対策を考えだしておくこと。A案が失敗した時点で、他の案を考えるようだと、どんどん焦ってくるし、インスピレーションに満ちた案も出てこない。

夢の実現を引き寄せる最短ルート